港湾都市と異国情緒が見事に調和する神戸市、美しい姫路城を有する姫路市、瀬戸内海に面した風光明媚な明石市や淡路島など、兵庫県は様々な顔で私たちを楽しませてくれます。大阪へのアクセスも良く、テレワークが促進されるなかで、そんな兵庫県に居を構える方も少なくないでしょう。
一方、兵庫県に住宅を購入するとなると、気になるのがその災害リスクです。兵庫県と言えば、どうしても兵庫県南部地震に端を発した阪神・淡路大震災について考えざるを得ません。さらに兵庫県では複数の市町が南海トラフ地震の防災対策推進地域に指定されており、その災害リスクや地震発生の可能性について無視することはできないでしょう。
兵庫県で新築の戸建て物件を購入するなどを考えるとワクワクが止まりませんが、一度その災害発生の可能性と、必要な防災について考えてみましょう。
今回は、兵庫県で過去発生した災害、今後発生が想定される災害を解説した後、兵庫県で暮らすうえで役立つ防災の取り組みをご紹介します。
兵庫で発生した過去の地震!阪神・淡路大震災からどう立ち直った?
兵庫県南部地震は、兵庫県南部を震源として1995年1月17日に発生しました。兵庫県南部地震は、戦後最大の死者を出す阪神・淡路大震災を引き起こした地震であり、日本で初めての都市直下を震源とした大地震です。
本心は淡路島北部、兵庫県津名郡北淡町付近を震源としたもので、マグニチュード7.3、気象庁の震度階級に震度7が導入されてから始めて最大震度7が観測された、紛れもない大地震でした。その後震度7が観測された地震は新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)、熊本地震、北海道胆振東部地震のみであり、これら名を連ねる地震からも当時の阪神・淡路大震災のすさまじさが想像できます。
この地震による被害は兵庫県内だけで死者数6,402名、負傷者40,092名に上り、全半焼壊となった被害家屋は240,956棟、439,608世帯という甚大なものでした。
今、兵庫県はこの震災の教訓を生かして力強く復興を遂げています。兵庫県の発行しているパンフレット「ひょうごの防災」では阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえた防災対策の推進として、災害防災センターの整備や24時間監視・即応体制の整備・運営、「フェニックス防災システム」と名づけられた情報の収集・発信機能などの取り組みや、「ひょうご防災リーダー講座」などの地域コミュニティ単位での防災力の向上推進などが紹介されています。
また、阪神・淡路大震災の経験や教訓を世界の共有財産として構成の継承し、国内外の災害による被害軽減に貢献することを目的として「人と防災未来センター」が設置されています。
兵庫県にとっては、阪神・淡路大震災は決して過ぎ去った過去ではなく、これから兵庫県で生きていく上での教訓であり、忘れてはならない経験として未来に活かそうという姿勢が強く現れています。実際、兵庫県は南海トラフ地震防災対策推進地域を含んでおり、まさにこれから発生が想定されている地震に対する備えが強く求められています。
南海トラフ地震は今後30年以内に70~80%の確率で発生する?!
南海トラフ地震とは、伊豆半島付近の駿河湾から、宮崎県の日向灘までのフィリピン海プレート・ユーラシアプレートが接する海底の溝(南海トラフ)を起点に発生が予想されている地震です。今後30年以内70~80%の確率で発生するとされ、発生した場合のマグニチュードは8~9クラス、最大震度は静岡県から宮崎県にかけての一部地域で震度7、隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。
兵庫県HPに掲載されている「南海トラフ巨大地震・津波(M9.0)の被害想定結果」によると、兵庫県においても淡路島や瀬戸内海沿岸部を中心に震度7~6弱の強い地震が想定され、内陸部も含めた県内の広い地域が震度5強~5弱の揺れが想定されています。加えて震度6強以上の揺れが想定される地域では、揺れに加えて液状化危険度も極めて高いと想定されています。
南海トラフ地震が兵庫県を襲う場合、揺れや液状化に加えて備える必要があるのが津波被害です。揺れや液状化と同様に兵庫県が発表している被害想定では、神戸地区・阪神地区いずれも被害の大きいエリアでは1.0m以上2.0m未満の津波が想定されています。
淡路島内はもちろん、たつの市や姫路市~明石市、神戸市の沿岸部での住宅購入を検討される場合は、地震の備えは特に必須と考えらます。兵庫県での物件購入を検討される場合、かならず購入予定地域の地震・津波リスクについて、被害想定結果から確認するようにしましょう。
南海トラフ地震は今後30年以内の発生が想定されています。仮に30年後に地震被害よって住宅が損壊した場合、もう一度住宅を建て直すための貯蓄があるでしょうか。東日本大震災の例では、住宅が全壊した場合の再建費用は平均2,500万円であった一方、公的支援として受給できた金額は義援金を含めても約400万円にとどまるものでした。
地震被害に対する金銭的な備えとして地震保険の加入が考えられますが、一般的な地震保険で設定できる保険金額は火災保険でその家や家財に設定している保険金額の50%が限度であり、上記の東日本大震災の例から考えると公的支援を加えても住宅再建費用に満たない可能性があります。
地震による損害を補償する保険について、上記のような一般的な地震保険の上乗せとして合計100%の補償が受けられる特約を用意している保険会社があります。例えばジェイアイ傷害火災保険の「地震+プラス」では、「地震危険等上乗せ特約」をセットすることで、地震保険では補償しきれない残りの50%も、上乗せで補償を受けることができます。
「地震+プラス」については、下記サイトをご参照ください。
■兵庫県の防災の取り組みを紹介!防災アプリのダウンロードが必須?!
最後に、兵庫県の防災の取り組みの一部をご紹介します。すでにご紹介した「兵庫防災リーダー講座」や「人と防災未来センター」以外にも、兵庫県では過去の震災の経験を活かして未来の地震に備えるための様々な取り組みが行われています。
・ひょうご防災ネット
「ひょうご防災ネット」は、兵庫県による防災情報発信システムです。携帯電話のメール機能やホームページ機能を利用して、災害発生時等の緊急時に、緊急気象情報(地震、津波、気象警報、特別警報、土砂災害警戒情報、河川洪水予報、竜巻注意情報等)や避難情報等を県民・市民に発信します。また平常時には、防災の心得、防災訓練の案内等の緊急時に備えた防災情報を掲載しています。
ひょうご防災ネットは、外国の方向けに気象警報や各市町が発信する緊急情報等の内容を12言語に自動翻訳して公開する「ひょうごEネット」が運用されています。
また、ひょうご防災ネットはスマホアプリ版がAndroid、iOSそれぞれに向けて配信されています。スマホアプリ版では防災情報の提供以外にも自分の避難場所を登録しておく「マイ避難カード」や、いざというときに避難行動がすぐに取れるよう、自分の「逃げ時」として避難情報(避難指示等)や防災気象情報を登録した場合、発令時にはプッシュ通知される機能が備わっています。
・兵庫県CGハザードマップ
土砂災害、ため池、津波、高潮、洪水の5つの自然災害について兵庫県のハザードマップを確認することができます。また、気象情報や、川・道・山・海のリアルタイム状況、河川・港内のライブカメラの情報が確認できるほか、災害について学習する動画コンテンツも掲載されています。
家族全員で自宅周辺の災害リスクを確認するとともに、災害の危険について子どもと一緒に学べるサイトになっています。
■兵庫県CGハザードマップ |
http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/ |
阪神・淡路大震災の教訓を活かして南海トラフ地震に備えよう!
兵庫県は、過去大きな震災に見舞われ、また30年以内に次なる災害が襲うことが想定されています。だからこそ、過去の教訓を活かして次なる災害に立ち向かえるよう、防災の取り組みに余念がありません。
災害に備えるためには、公助と自助が大切です。上記の通り、兵庫県の様々な取り組みは公助、火災保険や地震保険で、災害に備えることは自助の1つと言えるでしょう。
兵庫県に居を構えることを検討する際は、兵庫県民の一員として、自身も万全の自助を備えたいいですね。