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3.11の教訓から学ぶ、防災対策の重要性

2011年3月11日に発生した東日本大震災。

後に「3.11」と呼ばれるようになったこの未曾有の大災害は多数の死傷者と行方不明者を出し、今なお多くの人の生活に影を落としています。

この記事では、3.11の教訓から学ぶべきことと、今後起こるかもしれない大型地震に備えた防災対策について解説します。

3.11から得られる3つの教訓

東日本大震災では大地震の揺れに加え、巨大な津波の発生によって多くの尊い命が失われました。

2019年12月時点での震災による死者・行方不明者は1万8,000人余りに上り、建築物の全半壊は40万戸以上に達することが確認されています。

地震大国と呼ばれる日本は、諸外国に比べて地震に対する備えが充実しているといわれていますが、東日本大震災ではなぜこれほど多くの犠牲者が出てしまったのでしょうか。

以下ではその原因と3.11から得た教訓を3つにまとめてみました。

1. 現場の調整機能の確立

大規模な災害が発生した際、被災地の住民は市区町村に助けを求めますが、自治体も被災者であるため、限られた設備と人員で十分なサポート・支援を行うのは困難です。

実際、東日本大震災では自治体が機能を失い、長らく国からの支援を受けられなかったところも見受けられました。

3.11のように広範囲に被害が及んだ場合、市や県のレベルでは対応が難しくなるため、自治体から国、さらには海外の国・機関・団体までスムーズに連携が取れるような調整機能の確立が求められています。

2. 災害弱者への配慮

年齢や身体機能などの問題によって自力での避難が難しい人を災害弱者といいます。

東日本大震災では多くの方が死亡・行方不明となりましたが、その内訳を見ると、65歳以上の死者数が全体の約6割を占めているほか、障害者の死亡率は全体の約2倍に上るという結果が浮き彫りになりました。[注1]

[注1]災害弱者の避難計画をつくるために~いま、私たちにできること~
http://www.city.tomigusuku.okinawa.jp/sp/userfiles/files/201903hinanplanslideshow.pdf

それまで自治体任せだった災害救助の方法にメスが入ったのは平成7年に発生した阪神・淡路大震災で、平成9年には大規模災害における応急救助の指針がまとめられました。

その後も大規模災害の被害を受け、災害時要支援者の避難支援ガイドラインなどが作られましたが、しっかりとした基盤が整わないまま3.11が発生。またしても多数の被害者を生む事態となりました。

近年は近隣住民とのコミュニケーション不足により、災害弱者がどこにどれだけいるのか正確に把握できず、いざというときの対応の遅れが心配されています。

自治体の防災・避難訓練に参加する、地域の行事に顔を出すなど、日頃から積極的に地域に関わり、いざというときに助け合える環境を整えていくことが大切です。

3. 記憶の風化による震災への意識低下の防止

自然災害が発生しやすい日本では、3.11の前にも数々の大規模災害に見舞われてきました。

2000年以降だけでも、死傷者を出す台風や地震の災害が複数発生しており、連日テレビやネットの話題に上りました。

しかし、復旧・復興が進むにつれて、災害の記憶は徐々に風化し震災への意識も低下してしまいます。

実際、東日本大震災で被災した人たちを対象としたアンケート調査によると、10人のうち7人が「全国的に風化が進んでいると思う」と回答したそうです。[注2]

[注2]東日本大震災7年被災者アンケート
https://www3.nhk.or.jp/news/special/shinsai7portal/questionnaire/

復興によって風景が変化し、被害が伝わりにくいことや、多くの人が日常生活を取り戻し、震災が話題に上らなくなったことなどが風化の進行を早めている原因と考えられています。

記憶が風化すると防災対策もおろそかになりやすく、いざ大規模な災害が発生したときに適切な対応ができなくなります。

次に大規模な災害が発生した際、1人でも多くの人が適切かつスピーディな行動に移れるよう、3.11の記憶を持った大人が子や孫など次の世代に震災の歴史を伝えていくことが大切です

大型地震に備えた防災対策

大型地震が発生したときに備えて、日頃から行っておきたい防災対策を3つ紹介します。

1. 家族で防災会議を行う

大型地震はいつ、どこで起こるかわからない災害なので、前もって防災に必要な情報を家族で共有しておきましょう。

具体的には、家の中で安全な場所はどこか、どういうルートで避難場所に移動するか、防災袋はどこに置いてあるか、非常時の連絡方法はどうするか、などについて話し合っておくと、万一のことがあっても冷静に対処できます。

2. 防災活動に参加する

毎年9月1日は「防災の日」とされ、この日を含む1週間は「防災週間」とされています。

自治体では、防災週間などに合わせて避難訓練などの防災活動を実施しています。

大型地震が起きたときの安全行動を学べるほか、地域住民とコミュニケーションを取る絶好の機会にもなりますので、積極的に参加しましょう。

3. 住宅の耐震診断を受ける

日本では建築基準法によって耐震基準が定められていますが、現行の新耐震基準が設けられたのは1981年のことで、それ以前の建物は旧耐震基準をもとに建築されています。

建物自体の老朽化に加え、もともとの耐震基準も低いので、耐震診断を受けたうえで必要に応じて耐震補強を行ったほうがよいでしょう。

大災害に備えて火災保険・地震保険の加入も大切

日本では全国どこに住んでいても大災害に見舞われるリスクがあるため、地域に関係なく被災したときの備えを整えておく必要があります。

大災害の備えといえば火災保険と地震保険が一般的ですが、どちらも法的に加入が義務づけられているものではないので、いまだに未加入のご家庭もあるようです。

しかし、年々地震保険の需要は高まってきているデータも出ています。損害保険料率算出機構の調査では、火災保険に新規で加入した人が地震保険を付帯して契約する割合が、2010年時点の48.1%から、3.11による影響もあり、2018年時点では65.2%まで上昇しています。[注3]

[注3]損害保険料率算出機構 損害保険料率算出機構統計集
https://www.giroj.or.jp/publication/statistics/

2019年度のデータでは、上記の割合がさらに66.7%に増加しており、地震保険の加入を必要と考えるご家庭が増えていることがうかがえます。詳細は、以下の記事を合わせてご覧ください。

日本は世界的に見ても自然災害の発生率が高い国なので、全国どこにいても安全とはいえません。むしろ国土がせまい分、一度未曾有の大災害が発生すると広範囲に被害が及ぶことが予測されます。

自宅が全半壊すると多額の費用を払って修繕・建て替えを行わなければなりませんので、もしもの場合に備えて災害による被害をカバーできる火災保険や地震保険への加入を検討してみましょう。

3.11の教訓を忘れず、常に防災意識を持とう

3.11から数年が経った今、被災地の復興も着々と進み、多くの人が日常生活を取り戻してきています。

しかし、自然災害が起こりやすい日本では、近い将来、再び大規模な災害が発生する可能性があるといわれています。

再び多くの犠牲者を出さないよう、3.11の教訓を活かして常日頃から防災意識を高く持ち続けるよう心がけましょう。

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