ホーム >  知る >  異常だけど異常じゃない?異常震域を徹底解説

異常だけど異常じゃない?異常震域を徹底解説

最近、耳にすることが増えた「異常震域」ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?

「『異常な揺れ』のこと?もしかして大地震の前兆なの?」

「最近けっこうよく聞くけど、何が異常なの?」

今回は、異常震域の正しい意味と、異常震域が発生する原因を解説し、異常震域について警戒すべき点についても説明いたします。

異常震域とは?分かりやすく解説!

異常震域とは一言で言うと

「震源から近い場所よりも、震源から遠い場所で強い揺れが観測される」という現象、またはそういった震度分布が観測された地域のことです。

以下の図は、地震の震度とマグニチュードという指標の意味合いを示したものです。

地震そのものの大きさ(規模)を表す「マグニチュード」に対し、特定の場所における地震の揺れの強さを表す「震度」は、一般的に震源に近いほど大きく、震源から遠い場所ほど小さくなります。 ちょうど、太鼓をたたいた際に太鼓から出た音の大きさがマグニチュード、聞こえた音の大きさが震度に例えられます。

これに対し、震源から遠いにもかかわらず、震源に近い場所よりも大きく揺れたことを指して「異常震域」と呼ばれています。「異常震域」という字面からは、何だか「本来起こりえないことが起きている」「天変地異」のように感じてしまいますが、震源からの距離と揺れの強さの話で、現象自体は特に珍しいものではなく、一般的に観測されています。

※震度とマグニチュードの詳細は以下の記事を参照ください。

異常震域はなぜ起こる?発生の原因に迫る!

異常震域という現象は一般的に観測されるものですが、なぜこのような揺れ方をするのでしょうか?

そもそも、地震は地球表面を覆う複数のプレートの活動により発生し、またその揺れの大きさは場所によって地盤などの影響を受けます。

一般的に異常震域が観測されるケースとして、地震が地下深くで発生した場合に、真上のプレートや地盤が地震波を伝えにくく、地震波が伝わりやすいプレートを通って遠方で大きな揺れが観測されるというものがあります。(下図参照)

日本列島は太平洋側の東から、海洋プレートが陸のプレートの下に沈み込んでいるプレート境界に位置しています。沈み込んだ海洋プレートの深部で発生する地震(深発地震)の場合、震源の真上にある陸のプレートは地震波が減衰しやすいのに対し、堅い海洋プレートは地震の揺れが弱まらずに伝わるため、「異常震域」となります。

※地震の起こる仕組み、プレートについては以下の記事を参照ください。

異常震域は上記の通り海洋プレートの深部で発生する地震の際に観測されやすく、異常震域自体が別の大地震の前兆や予兆である、ということはありません。

異常震域で注意しなければならないことは?

「異常震域」という名前に惑わされない

「異常震域」はこれまでご紹介した通り、「遠いのに揺れが大きかった」という話で、その仕組みも特に珍しいものではありません。

名前から受ける異常事態、天変地異のようなイメージに惑わされず、冷静に受け止めるようにしましょう。

太平洋側の揺れが大きくなりやすい

異常震域は、その原因から、太平洋沿岸地域での揺れが大きくなりやすい特徴があります。

2007年には京都府沖の日本海を震源として発生した地震にもかかわらず、北海道の太平洋側で最大震度4を観測した事例もあります。

太平洋側地域にお住まいの方は、直下型、太平洋側の地震だけでなく、日本海側で発生した揺れが伝わってくることもある、と理解しておきましょう。

人気記事ランキング

ホットワード

トップへ戻る