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知らないと損?!地震大国日本 被災時の公的支援制度まとめ

地震の窓口では、以前の記事で東日本大震災において公的支援として受給できた金額は、善意による義援金を合わせて約400万円ほどだったことをご紹介しました。

<参考記事>

東日本大震災で住宅が全壊した際の住宅新築費用の平均は約2,500万円と、支援金だけで十分とは言いがたいものでしたが、もしもの際に受給できる支援金にどのようなものがあるか、知っておくことは非常に大切です。

地震大国と言われ、災害に見舞われることの多い日本では、地震などの自然災害に被災した際に生活再建を補助する支援金や、一部税金の控除・減免などの制度が用意されています。この記事では日本における災害支援制度をご紹介し、最後にそれら支援を受けるための「り災証明書」についてご説明します。

住居や家財に損害を受けた際の支援制度

まずは、災害により住居や家財に損害を受けた際の生活再建や、当面の間の生活資金に充当するための支援制度をご紹介します。

被災者生活再建支援金

10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村等において、自然災害により住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支給される支援金です。

「被災者生活再建支援法」をベースにした制度ですが、国による支援の適用とは別に都道府県独自の制度を設け、より広く支援を実施していることもあります。詳細はお住まいの市区町村にてご確認ください。 ここでは、ベースとなる国による被災者生活再建支援制度における支援金をご紹介します。

住宅の被害程度に応じて支給する
支援金(基礎支援金)
全壊・解体・長期避難:100万円
大規模半壊:50万円
住宅の再建方法に応じて支給する
支援金(加算支援金)
建設・購入:200万円
補修:100万円
貸借(公営住宅を除く):50万円
※世帯人数が1人の場合は、各支給額の4分の3の金額が支給されます。
※一度住宅を貸借した後、自ら居住する住宅を建設・購入(または補修)する場合は合計で200万円(または100万円)が限度になります。

災害援護資金

災害救助法が適用される災害が起きた際、市町村が被災世帯に対し、生活の再建に必要な資金を低利で貸し付ける制度があります。

災害により負傷または住居、家財の損害をうけた場合に災害援護資金を借りることができますが、所得制限がある他、あくまでも貸し付けなので後で返済の必要があります。所得制限の内容や、被害内容ごとの貸付限度額などは、在宅地の市区町村にてご確認ください。

災害復興住宅融資

災害によって被害が生じた住宅の所有者または居住者は、住宅建替のための災害復興住宅融資を利用することができます。

融資が受けられるのは、原則として一戸当たりの住宅部分の床面積が13㎡以上、175㎡以下の住宅です。また、融資対象となる住宅については、独立行政法人住宅金融支援機構の定める基準を満たしている必要があります。詳細は、融資を行っている独立行政法人住宅金融支援機構にてご確認ください。

以上の3つが、住宅や家財の損害を受けた際の支援制度です。

なお、「災害援護資金」「災害復興住宅融資」はいずれも返済の必要があるため、冒頭でお伝えした「義援金を含めて約400万円」には含めておらず、「被災者生活再建支援金(全壊・再建で計300万円)」と「義援金(約100万円)」の合算となります。

住居や家財の損害に対する支援制度のうち、返済の必要のない「被災者生活再建支援金」のみでは全壊した住宅の再建には金額が足りない可能性が高く、別途地震保険に加入しておくなど、自らの備えが非常に大切です。地震保険について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

被災時の税金の控除および減免措置について

自然災害に被災した場合は、支援金の受給以外に、一部税金についても控除、減免を受けられる可能性があります。

以下にて紹介する制度について、いずれも詳細は、在宅地を管轄する税務署にご確認ください。

所得税の雑損控除

災害によって、納税者の所有する住宅・家財・衣類などの資産に損害を受けた場合、確定申告時に一定額の所得控除を受けることができます。

控除できる金額は①所得税法の雑損控除か、②災害減免法による所得税の減免措置があり、いずれか有利な方が該当します。

所得税の災害減免

被災した年の所得金額が1,000万円以下で、住宅や家財の損失額が時価の50%以上の場合には、所得税の減免を受けられます。この減免は、所得税の雑損控除を受けない場合のみ対象となります。

その他減免される税金など

災害の規模や被災程度に応じて、税金や保険料などの減免・控除を受けられる場合があります。詳細はそれぞれ、以下の所管元にてご確認ください。

相続税・贈与税など税務署
住民税・固定資産税など
国民健康保険料・介護保険料
最寄りの市区町村
個人事業税所管都道府県税の窓口
国民年金日本年金機構
電気・ガス・上下水道・電話料金・NHK受信料など契約している各事業所

支援制度を受けるにはどうしたらいいの?

今回ご紹介した支援金、融資、税金の控除・減免制度、これらの多くは支給申請時に「り災証明書」という書類またはその写しが求められます。

公的支援を適切に受給するために、共通して必要になる「り災証明書」についても正しく理解しておきましょう。

り災証明書とは

り災証明書(罹災証明書)とは、地震や風水害などの災害によって住んでいる家屋が被災した場合、被害の程度を市区町村長が証明するものです。給付金や融資、災害義援金の受給、税金、国民健康保険などの支払い猶予や減免の他に、公的利用サービス料の減免、保険金の支払い請求、応急仮設住宅への入居申請などに必要となります。

り災証明書の交付判断基準

り災証明書は、各種被災者支援制度の適用判断材料として幅広く活用されており、申請時の提出を求められます。り災証明書の発行は市区町村の職員が判定し、住宅(持ち家、賃貸住宅)の被災程度によって以下のような区分になります。

詳細は在宅地の市区町村にてご確認ください。

■被害程度と損害割合
全壊50%以上
大規模半壊40%以上50%未満
半壊20%以上40%未満

公的支援と自らの備え、正しく活用することが災害復興の第一歩!

今回は、住居や家財の損害に対する支援制度と、税金の控除・減免に絞ってご紹介しましたが、災害時にはこれらの他にも「災害弔慰金」「災害障害見舞金」など、災害によって亡くなられた方、行方不明になった方のご家族への弔慰金や、重度の障害を負った場合の見舞金の制度もあります。

災害大国ともいわれる日本では、災害時の支援制度には様々なものがありますが、実際にこれら制度による支援金のみで被災後の生活復興に十分な金額が受給できるとは、残念ながら言えません。

公的支援を適切に活用(公助)しつつ、自らも備えること(自助)の両立が災害復興に最も有効な手段と言えるでしょう。

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